かまくらかたおもい

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

かまくらかたおもい

 
愛しいものを大事にするのは
どうして難しいのだろう
誰かが言った
青い空に白い月
 
山が聞こえた?
 
枯葉がこすれる音も
草木が揺れる音も
目をつむったら頼りない 山の上の柔い色も
あなたに届くだろうか
あなたへ写るだろうか
 
手をかざして
太陽の温度 漏れた光で赤く見えた
 
海が聞こえた?
 
砂をさらう小さな音も
波がくだける大きな音も
凛と冷たい空気漂う 浜辺の朝のやさしい色も
あなたに届くだろうか
あなたへ写るだろうか
 
気づいたときには季節は移ろい
跡形もなく消える
 
 
街が聞こえた?
 
卵を焼く油の音も
道路に響くタイヤの音も
匂いと湿度と思い出が混ざり 陽の傾く切ない色も
あなたに届くだろうか
あなたへ写るだろうか
 
届かなくても それじゃあまたね
必ず明日はやってくる
 
白い月が静かにずっと
ずっとずっと それを見てる